2014年 02月 03日
霧
外は霧。
電車も随分遅れていたみたいです。
坂の向こうに道がすっと伸びていくのは神秘的。
たとえば、霧だ。
濃い霧が道をすっぽりと覆っていた。海沿いの道だった。海からのつよい風が車に殴りかかって、目のまえの霧を一瞬さっと吹き飛ばすと、黒い海がそこにひろがっていた。海にかぶさるように、灰色の雲が幾重にもかさなって、低く激しく動いていた。港の入口の灯台の赤い灯がさっと閃いて、旋ってゆく。白い波がしらがまっすぐ一列にすすんできて、港の防波堤で、叫び声のように、一どに真っ白な水沫をあげた。
長田弘「詩は友達を数える方法」より
海じゃないけど。
こんなふうにことばを紡いでいけたら。
by utsuwa-utatane
| 2014-02-03 21:33